この歳まで男性経験がないということは、何か理由があるのではないか。睦也はそう密かに疑ってもいた。だが、その真相は定かではない。なぜならば、優は自分のことを多く語らない上に、例え聞いたとしても、曖昧に濁されてしまうからだ。その度に睦也は疑いの念を深め、優に対する不安、不満とも付かない感情を抱き始めていた。体は許しても、まだ心の奥深くまでは許してはいない……、そんな疑心暗鬼にさいなまれ。
 求めすぎ……、かもしれない。だが睦也は優の全てを知りたかった。独占欲からではない、優のことを愛していたからだ。その美貌とか、汚れを知らない純粋差からではなく、同じような夢を追う女性だからこそ、ここまで愛しく思えるのだ。