「お婆さん、いい人だね。料理も美味しかったし」
 電車を待つ駅の待合室で、優はポツリと呟いた。
「面と向かって言ってあげれば、婆ちゃん喜んだのに」
「次は、もっといろいろ話したい」
 その言葉から伝わってきた温かさが、睦也の心に響いた。そして何かを変えようとしていた。
「また連休が取れたら来よう。そのときは、泊めさせてもらおう」
 睦也は、それが何を意味するか分かっていた。その上で、あえて口にしていた。