四 神 〜 しじん 〜

「・・・よってここに、

“ 黄竜 ”を受け継ぐ者…
その“証”を授ける…」



 黄竜城四等官 長官 

 その最長老である
“ 紫扇 ”(しせん)が、

祭壇に飾られた一振りの
“剣”を、重厚な箱の中からうやむやしく取り出す。

 それは、黄金造りの柄に“ 霊獣 麒麟 ”が彫り込まれた、黄竜 の

  “神器”…


“ 紫扇 ”はそれを両手に持ち、勾陣 の前に歩み寄ると御前で跪き、高々と頭上に掲げ上げる。


 最長老の纏う、紫に金糸の刺繍細工が“神器”と合い重なり、
剣 の輝きを一層引き立たせた。



黄色に“竜”の金・銀糸刺繍が施された衣を纏う
勾陣 は、緊張の面持ちでそれを見据えると、

“剣”を手に取った…


 ズシリ・・・

手のひらに重くのしかかってくる…


 それが、自分がこれから担う運命の様にも感じて…
勾陣 は、より一層の
“覚悟”を強めた。



 ヒヤリと冷たさの残る柄を握る…

彫り物の凹凸が手の中で心地よく収まった。


 …不思議と、思いの他
心は落ち着いていた…。
 初めて見るこの景色も…初めて持つはずの、この “剣”にも…

何故か懐かしさを覚える…

そして…


勾陣 は“柄”を再度、
力強く握り締めると…



一気に鞘から引き抜いた!!



「黄竜王 万歳!!!!」



「黄竜王 万歳!!!!」



“ 紫扇 ”の掛け声と共に一斉に全員が合掌し、その場に跪き、敬礼する。



 高々と掲げられた剣の切っ先が…

太陽の光を受けて輝くように反射し

 今日と言う日を明るく照らし続けた…