四 神 〜 しじん 〜


一瞬の・・・
突風吹き荒れる、ほんの一瞬の出来事・・・。

その僅かな間にすべては終わっていた。


馬息一つ乱れる事なく静まり返った崖の上で、
“ 乱入者 ”は動きを止める・・・。

…その足元には、
先程まで弓引いていた大勢の敵の死体・・・


 身体一面を覆う布を頭から被っている為、
“ 顔 ”がよく見えない…
だが“その者”は、何も言わぬまま、
馬に跨った状態で一行を見下ろしていた。



…そして、その左手には…



…鈍く輝く、身の丈もの

 “ 大鎌 ”…。


 それは…


「朱雀王・・・?!」


 呟きにも似た声が 玄冥から発せられる・・・。


「…あの“ 鳳凰 ”を彫り込んだ“ 大鎌 ”は
 “ 朱雀 ”の象徴…

……何故 朱雀王 がこの “ 西方領 ”に…!?」


 信じられない…。


目を見張り、呻く様に呟く 玄冥 を 勾陣 は眺め…、

再度“ 朱雀 ”と言われた者を見つめる…。




「・・・・・・。」



 二人の間に長い沈黙が流れる…



朱雀 も、無言で 勾陣 を見据えていた…


 …が



 手綱を引き、馬を反転させると、
何も言わず、そのまま岩山の中に消えて行った…。





“ 黄竜 ”と“ 朱雀 ”


・・・これが“お互い”の出逢いであった……………………………………………