一瞬の・・・
突風吹き荒れる、ほんの一瞬の出来事・・・。
その僅かな間にすべては終わっていた。
馬息一つ乱れる事なく静まり返った崖の上で、
“ 乱入者 ”は動きを止める・・・。
…その足元には、
先程まで弓引いていた大勢の敵の死体・・・
身体一面を覆う布を頭から被っている為、
“ 顔 ”がよく見えない…
だが“その者”は、何も言わぬまま、
馬に跨った状態で一行を見下ろしていた。
…そして、その左手には…
…鈍く輝く、身の丈もの
“ 大鎌 ”…。
それは…
「朱雀王・・・?!」
呟きにも似た声が 玄冥から発せられる・・・。
「…あの“ 鳳凰 ”を彫り込んだ“ 大鎌 ”は
“ 朱雀 ”の象徴…
……何故 朱雀王 がこの “ 西方領 ”に…!?」
信じられない…。
目を見張り、呻く様に呟く 玄冥 を 勾陣 は眺め…、
再度“ 朱雀 ”と言われた者を見つめる…。
「・・・・・・。」
二人の間に長い沈黙が流れる…
朱雀 も、無言で 勾陣 を見据えていた…
…が
手綱を引き、馬を反転させると、
何も言わず、そのまま岩山の中に消えて行った…。
“ 黄竜 ”と“ 朱雀 ”
・・・これが“お互い”の出逢いであった……………………………………………
