四 神 〜 しじん 〜


「お任せください!! 誰にも負けないような、立派な騎兵に育ててみせますよ」

 韓丹 は ドン っと自分の胸を叩くと“ 何も心配はいらない ”との様子で言い放った。
呼小妃 を勇気づけるように…励ますように…精一杯の明るさで・・・。


「…では、行って参ります…」


「どうか気を付けて…」


 後ろめたさが残る感じではあったが、これからの事を考えると、長居は良策ではない…
韓丹 は思い切って踵を返すと、扉に向かって歩きだした。


「大丈夫です!! すぐ会えますよ!」


 最後に掛ける言葉が思い当たらず、扉の前で咄嗟に出たのがこの言葉…

韓丹 はすぐ、馬鹿な事を言ったと後悔し、顔を赤らめた・・・。


 そんな“ 簡単 ”な問題ではないはずなのに…
なんて軽々しい言葉を、私は・・・。
腹立たしさに、自分自身を呪いたくなる。


 だが・・・そんな彼女を微笑みながら 呼小妃 は見つめた…。


慈愛に満ちたその顔で…。



 …しかし“ すぐ ”は永遠に訪れる事はなかった…


呼小妃 はその後、幽閉の土地で亡くなったのだ。

まるで…“ すべて ”を遣り遂げたかのように・・・

眠るように…世を去った。