北の地・・・。
勾麟 との不義により、罪には問わない と言った白虎王の言葉をはねのけ、半ば強引にこの地に幽閉されて、もうすぐ一年が経つ。
代々、匈奴から君主の娘が、西方王 白虎 の元へ嫁いでいる。
“ 絆 ”の大事なこの時代、これは匈奴にとって一番大事な“ 繋がり ”であった…。
その“ 繋がり ”を汚した事は国を裏切ったと同じ事・・・。
黄竜王と同じく、君主の怒りも相当な物だった…。
だが、こればかりは誰にも止める事は出来ない…
“愛する事”は理屈ではないのだから・・・。
呼小妃は今、一つの手紙を書いている。
“彼”に…“証”を伝える為に…。
傍に控えていた“ 韓丹 ”に“本”の詳細を伝える。
豊富な蔵書を誇る 黄竜城 に、黄竜の血統を示した本がある。その表紙が二重表紙となっており、まだ二人が国に居た頃、逢瀬の手紙を、細工されたその本に忍ばせていたのだ。
その本に、この手紙を入れる…
もう見る事のないであろう“彼の人”の為に…
しかし…僅かな“希望”も募らせながら・・・。
