「だったら、どうして先に言わないんだ?」


「うひっ!!ご、ごめんなさい」



語尾がだんだん小さくなってゆく



「テンパっちゃって…今日中に荷物出さないと住む所がなくて…行く所が思い付かなくて………」



蚊が飛び交うよりも小さな声で言った



「はぁー」



盛大な溜め息を付き、頭を左手で抱え込んだ



「お願いだから見捨てないで!!」



美亜は要の脚に絡まりつきながら懇願した



「あたし死んぢゃうー」



大袈裟に振る舞った


らしいと言えばらしいのだが、全く呆れる話だ



「もう要ちゃんしか頼れる人が居ないのっ!!」



こう言われては要が折れるしかないようだ



「全く、お前にはつくづく呆れるよ」



もう一つ溜め息をつき、美亜の頭をクシャっと撫でた



「洗濯物だけは溜め込むなよ」



要の一言でニパァと表情が明るくなり



「ありがとっ!!」



更に腕に力を込め柵ついた





収まる場所に収まったという表現が適切か否か定かではないが、美亜の新しい住家が決まった


やはり美亜には甘い所があるのかもしれない。と思う要であった