美亜は大きな声を出した事に気付き、他の客に迷惑ではなかったかとキョロキョロ周りを見渡した



そんな心配は必要なかった

だって、ここは個室だから






目の前の彼は驚いていた顔から、いつもの優しい顔付きに戻り



「美亜さん、そんな事で悩まれていたんですね?だから、今日はあまり喋らなかったんですか?」



美亜にとっては重大な事なのに、石川誠二はヘでもないような問題らしい



「…はい」



料理が出来ないのに、カレーを作った時あたかも出来るように解釈され、嘘を付いているようで心苦しいものもあった



「気にしなくていいですよ」


「えっ!?」


「家政婦に用意して貰いますから」



俯いていた顔を上げると、ニコニコと目尻を下げた優しい顔をしていた



「心配しなくていいんですよ」


「へっ!?」



予想していた事より小さく小さく納まったので、美亜は拍子抜けしてしまった