噂とは伝言ゲームのようなもので広まるのも早い



『営企の白石さんが結婚するんだって』


『婚約中の彼が浮気相手を妊娠させたみたいよ』


『式の途中で花婿が逃走したらしいよ』






昼間の社食での出来事は、1日と経たずに広まっていた


美亜と綾子の会話に聞き耳を立てていた噂好きな人達から始まった伝言ゲーム


口語に伝わった話は3割は真実であり、残り7割は虚言が囁かれる



「…っで、どれが本当なんですか!?」



コピーを取っていると、険しい顔をした瑠璃が美亜の隣に立っていた



「ヒョエッ?な、何がですか!?」



瑠璃の言いたい事が分からず、美亜は不可思議な表情を浮かべた



「あの噂ですよ!!」


「噂って?」


「美亜さん達が社食で話してた事ですよ」



瑠璃の言葉に今日のランチのメニューが頭に浮かんだが、主旨違いだと直ぐに思った