気持ちとは裏腹に、脳はアッサリと判断を下した



「……うん…分かってたよ」




気付いていたけれど、認めたくなくて

これからも変わらぬ事を願っていたから






『大きくなったら要ちゃんのお婿さんになる』



小さい頃に言った言葉が現実にならない事は承知済み


ズシンと心に大きな大きな重しが、幾重にも伸し掛かった




「…早く、戻んなきゃ」



頭では理解している自分が、鏡に映る動揺している人物に諭すように呟いた



美亜はキュッと唇を真一文字に固く結び、追い付かない気持ちだけを残すようにトイレを後にした






父親同士が親友


小さい頃からの友達


幼馴染み


兄的存在






美亜と要の関係は


それ以下でも以上でもなく




それ以下でも以上でもない


感情を持っていて




それ以下でも以上でもない


関係は望んでいなくて






ただ、ただ



それ以下でも以上でもない…


関係を保っていたかった…――