美亜は表情の筋肉を崩さず



「幼馴染みなんですよ」



有りのままを伝えた



「幼馴染み?」



佐々木自身、想像していた事と相違していたのだろう


疑いの目を美亜に向けた



「父同士の仲が良いので小さい頃から行き来があったんです」



本当の事を言っている筈なのに言い訳をしている気分になった



「そうなの………主任に付き纏っていたと思っていたのだけれど違ったのね」



……付き纏うって…ストーカーかよ!



「特になにも有りませんので、ただの幼馴染みです」



間違った事ではないのに、この言葉を言った瞬間、虚無感に見舞われた



「そう、分かったわ」



佐々木はこれ以上語らず仕事へと戻って行った




ラウンジで話して以来、佐々木から睨まれる事や敵意を感じる事はなくなったが、以前とは異なる意味で視線を感じる事となった