要は少し面倒臭そうに美亜達の方に目線を向け、諦めたように沙織の命令に従ったが不機嫌さが伺える



「姉貴」



要の口から出た単語によって、周囲に居た社員達はこの女性が鷹科家の血縁者だという事を覚った



「ほら、早く持ちなさいよ」



沙織は美亜のバッグを要に押し付けた



「ちょ、ちょっと沙織ちゃん!」



過去の二の舞になるまいと綾子の腕を掴み、沙織に抗ってみた



「あたしこれから…」



綾子にも助けて貰いたくて、目線で請いを示してみた



「あら、あなたみーちゃんのお友達?」



自分から標的が少しでも外れた事にホッとした



「はい、美亜の同期で宮部綾子と申します」



さすが綾子!

オドオドする美亜とは違い社会人らしい態度で挨拶をした



「みーちゃんのお友達なら、あなたも一緒に如何?」


「有難うございます。残念ながら、わたくしはこのあと予定がありまして」



とても申し訳なさそうに、且つこの後の展開を予想しつつ微笑んだ