漸く食べ終わったようで美亜は満足気に天を仰いだ



「はあ〜食べた食べた!」



先程の騒がしさがなくなり、何かに気付いたようでキョロキョロ辺りを見回した



「あり?イチ兄は?」


「帰ったぞ」



一が帰ってから5分以上は経っていた





「なあ、どうして兄貴と住むのは嫌なんだ?」



美亜にとって誰と住むかが問題ではなく、何処に住むかが重要だ


だったら一と一緒に暮らしたって何ら今の生活とは大差ない筈


寧ろ会社の近くに住めば、今よりゆっくりと朝寝ていられる

決め手は一体何だったのだろうか?



「だってイチ兄ご飯作ってくれないもん」



確かに一は料理はしない



「それに、この家出たら飢え死にしそうだし」



美亜は『やだ』を言うまでの数秒の間で、そんな事を葛藤していた