―――ガチャリッ
玄関の方でそんな音が聞こえたが、夢か現実か…意識がハッキリしない
「………あー………みーあー………」
あいつを呼ぶ男の声が聞こえる
俺が呼んだのか?…違う、俺の声じゃない
「美ー亜ー」
次第にその声がハッキリと耳に届き、夢ではないと覚醒する
「あいつか…」
まだ重い瞼をうっすらと開け、声の主を確認する
こんな朝早くから迷惑窮まりない
無視を決め込み、頭から布団を被り包まろうと身を縮込めた
だが、何かしら違和感を感じた
「………………」
温かい空気が逃げないように少しだけ布団を捲ると……………黒っぽい物が見えギョッとする
思いっ切り布団を剥ぐと、現れたのは要に絡み付くように規則正しく寝息を立てている美亜であった