夏休みに入る少し前。
あたしは、龍くんと一緒に行く約束をした夏祭り用の浴衣を買いに行った。
「どれがいいかなぁ~?」
「「ん~。さくらに似合いそうなの…。」」
友達と一緒にお店をめぐる。
「「これは?!」」
友達が差し出したのは、白地にピンクのお花柄の丈の短いフリルが付いてる浴衣。
「お客様。ご試着なされますか?」
愛想のよさそうな店員さんがあたしに聞いた。
あたしは、この浴衣が好みではなかったが断るのも悪いと思ったので
「あー。はい。」
とこたえた。
「「さくら?おわった?」」
「うぅん。とりあえず…。」
「「見たい!!!!」」
「「開けてもいい?」」
「う、うん。けど…。」
「「つべこべ言わないっっ!!」」

シャッッ

開かれるカーテン。
「恥ずかしいよ・・・。」
「「か・・・。可愛いっっ!」」
「「すっごい似合ってるよ?」」
「本当に・・・?けど、短くない??」
「「いいのっっ!それで男子なんてイチコロなんだからっ!」」
「「店員さーーーん」」
友達達はあたしの意見なんて聞く耳も持たずに、
さっさとお会計を済ませてしまった。
「ちょ、ちょっとぉ・・・。」
「「いいじゃん。浴衣が似合う女・・・。」」
「「かぁわいいーーーーーーーっっ」」
抱きしめられた。
「く・・・苦しい・・・。」
「「頑張ってねっ!夏祭り♪」」
「ひ・・・人事だと思ってぇ・・・。」
そう言って、頬を膨らませて見せた。