『なぁ、さくら。』
”さくら”そう呼ばれて、戸惑った。
さっき、「いいよ」って言ったのに、慣れていないせいか脈が速くなる。
『俺と、夏祭り一緒にいってくれない?』
うわ、いっちまったよ。
そんな事を呟きながら、顔を真っ赤にしてした。
今にも蒸発しそうなくらい。湯気が出てそう・・・。
どうでもいい事を考えていたら、
『あ。いや。無理だよな。俺なんかと…。』
そういって、すこし落ち込んでしまった。
そして、
『じゃぁ、俺、帰るわ。ゴメンな。変な事言って。忘れて。っじゃ!!!』
そういって、足早に帰ろうとする彼の腕を、無意識のうちに掴んでいた。
「まって。」
『え…。』
「夏祭り。いいよ。一緒に…。」
『まじで??』
思い切りで言ったのかわからないけれど、彼は驚きを隠せない顔をしていた。
多分、「いいよ」といわれるのを想定していなかったのだろう。
「あたし、龍くんと一緒にいきたい。」
『…。』
彼は空に向かって
『おっしゃーーーーーーーっっ!』
と大声で叫んだ。



















このときは知りもしなかったんだ。
夢にまで見たような出会いがあることを…。