「ありがとう。」
『おぅ。』
綿飴は甘くて、口の中で蕩けた。
「美味しい。」
龍くんは顔を赤らめた。
『やっと笑った。』
「え?」
『いや。今日笑ってなかったな。って。』
「・・・。うん。」
『じゃぁ、夏祭り楽しむ?』
夏祭り。
その響にあたしは疑問を覚えた。
あたしはどうして此処にいるのだろう?
・・・。
「いい。家に帰る。」
『え?もう帰るの??』
「うん。」
『・・・そっか。じゃぁさ、帰りに俺の家寄ってけよ。』
「ぇ?」
『ほら、立って。』
驚いてるあたしを他所に彼はあたしの手を引いた。
乱れている服の眼のやり場に困ったのか、自分が羽織っていた上着を浴衣の上に被せてくれた。
そして、今度は離すまいと手をしっかりと握って。
「・・・。」
彼の家に行くまでに、彼は何度かコッチを見て話しかけてくれたが、あたしは泣いているのがバレない用にするので必死で、曖昧な返事しかしなかった。
『着いた。』
ここが、龍くんの家。

そして、あたしがこれから出会う、アノ人の家・・・。