ひねくれ者な俺だが、この時は本当に祈るような気持ちだったと思う。
ドアに手を添えて、ただ中に居るであろう神父やシスターの善意という名の信仰に期待するだけだ。

そして、程なくして扉が開いた。
開く前に慌ててドアから手を引いて一歩下がる。
やっと出てきてくれた。
おお、主よ……あなたの懐に今、私を迎え入れたまえ。

「あれ、お兄さん……だぁれ?」

出てきたのは小さな子供だった。
教会で預かっている子供だろうか。
確か、教会では子供を孤児院みたく預かる事もあるとか聞いた事がある――テレビでだが。

「あ、なんだアンタ?」

が、直後に出てきたのは子供がどうとかではない。
教会に、余りに似付かわしくない男だった。

「――」

思わず絶句する。
上半身は黒い皮のジャケットに、下半身も皮のズボン……。
髪は青く染めていて、なんだろう、ロックバンドのメンバーっぽいというか、趣味の悪いただのギャング風の少年というか。

外見的に同年代らしいが、一目で趣味が悪い奴と内心で断定してしまった。