「はぁ……やっと、着いた」

息を荒げながら、俺は、ある建物の前へ辿り着き、手をドアに添える。
ドアノブにではない、ドアそのものに手を添える。
ドアには十字架の紋章が描かれ、所々に擦り傷などがありながらも神聖な雰囲気を感じさせる。

俺のような神話無知野郎には、これだけで十分神聖だ。
あとは、そう……祈ろうか。
祈っていれば、神が救いの手を差し伸べてくれるかも知れない。

そう信じて祈る。
祈るしか無いだろう。
ならば、祈る。
ひたすら祈る。
それしか出来ないんだ。

何故なら――ここ三日間、何も食べていない。