夕方。
真っ赤に染まる空が印象的な時間帯だ。
まるで血のように赤い、天上に広がる血の海。

ボンヤリそれを眺めながら歩く俺に、幸運は果たして来るのだろうか。
そんな事を考えながら歩く。

黄昏を背に、荒れた街をただ歩いていく。
スラム街とでも形容できようか。
所々、ひび割れたり倒壊寸前といったビル等の建造物が立ち並ぶ。

人が住んでなど、居なさそうな空気すら感じる。
しかし、この一つ一つに住民は住んでいるし、中には新築同然の民家もある。

「はぁ……はぁ…」

そんなアンバランスな街に、俺、樋口八雲は歩いていた。
とある場所を目指して。