「八雲……ヤクモかぁ、いい名前ですね♪」

両手の平を合わせて嬉しそうに言ってくれる。
それほど良い名前だとは思ってはいないんだが、喜んでくれているなら、それでいいか。

「八雲か、じゃ……ワイも名乗らにゃならんなァ?」

言って男はギターを近くの壁に掛ける。
確か、さっき名前をサヤの口から聞いた気もするが。

「ワイは桐山猛、よろしゅうな」

そしてさっそく、手を差し出して来る。
――俺はまだ、座ったままなんだが。
食事も喋ってばかりで全然進んでないし。