『ってか、菜々は進路決まってるの?』
「うんっ!」
菜々は自信満々に笑みをみせる。
『大学進学?』
「ううん。美容師の専門学校行くの!しかもAO入試で!!」
『そうなんだ!!』
菜々でさえももう進路を決めていたとは・・・
普段夢とか好きなことの話をしなかったから正直、驚いた。
菜々が美容師かぁー。
あたしも、将来の夢、見つけたい。
キーンコーンカーン・・・
「じゃー今日の帰りのHR終わり」
先生がそう言うとすぐ教室を出ようとした。
「あ!小田は準備室な?」
そう言って教室を出て行く先生。
「じゃー優姫、今日も頑張って!!また明日ね」
『うん、バイバイ』
あたしは菜々と別れてから、数学準備室に向かう。
ガラガラガラ…
『失礼しまーす』
小さな声でそう言いながら準備室に入ると、先生は先に別の仕事をしている様子。
「おっ!来たな!今日の手伝いは…コレだ!」
そう言って先生は、何十枚か持った小さな紙をヒラヒラさせた。
じーっとその紙を見つめると、どうやら1年の小テストのようだ。
げっ!!!!
まさか…
『あの…今日の手伝いはもしかして、小テストの採点ですか?』
「ああ、そーだ」
やっぱり…
そう思った後に、先生は
「採点ミスすんなよー!!俺のメンツ潰れるからな」
なんて、めちゃめちゃプレッシャーをかけてくると同時に、またあの意地悪顔をした。
『はい…なるべくないようにします』
あたしは真剣に答えと解答用紙とにらめっこ。
1枚1枚丁寧に採点し、見直しを何度もする。
その間、先生が何をしていたのかなんて気にもとめていなかった。
それくらい集中していた。
『おわったー』
あたしは、25分かかり31人分の採点を終え気が抜けてへとーっとソファーにもたれかかった。
「お疲れ~コーヒーでもいれるか?」
『は、はいっ』
あたしは目を輝かせて返事をした。

