「わりぃ・・・」
先生はそれ以上言わなかった。
『わりぃだけじゃ分かんないよ・・・まだ・・・好き、なの?』
あたしは恐る恐る聞く。
「んなこと・・・ねぇよ!!ただ・・・」
「ただ・・・そいつとは沢山の思い出あんだよ・・・」
あたしの知らない先生の過去。
あたしはきっとその過去に踏み入れちゃいけない・・・。
しばらく重い沈黙が流れる。
「俺さ、その写真の彼女と去年の6月の上旬まで付き合ってた・・・」
『・・・うん』
「彼女、青井裕輝(あおい ゆうき)って言うんだけど、俺達婚約してたんだ。だけど、俺ふられた」
『・・・何で?』
「他に好きな奴がいるって」
『・・・』
「俺、裕輝とは6月の半ば頃に籍入れる約束してて、アイツのお腹にガキも出来てさ、幸せいっぱいだったのにイキナリ別れてはねぇよな」

