「零会長…?」 少し首を曲げて、覗き込むように俺を呼ぶ吉野の声に、ハッとする。 「零、華奈ちゃんに見とれてたんだろ?」 「か、克也先輩っ!」 ………。 見とれてたんじゃない。 ただ、目が離せなかった。 「なんで俺が、猫に見とれなきゃならない」 それだけ言うと、俺は2人を追い越しスタスタと歩き出す。 「また…猫って」 「はは、こんなに可愛らしい猫なら大歓迎だけどな」 はらり、桜が舞い散る。