あの人には、きっと私は敵わない。
もしかしたら零会長は、沢口先生の考えをも、すでに見透していたのかもしれない。
「…ふっ」
???
少しの沈黙の後、沢口先生がいきなり吹き出した。
「ふはは!俺は、華奈ちゃんにも敵わないよ」
おかしそうに笑う沢口先生のそんな顔は、初めて見た。
「じゃ、私体育館行ってきますから」
きっともう、始まってる。
急がなきゃ!
「あ、華奈ちゃん!」
「はい?」
教室のドアまで来たところで、沢口先生に呼び止められる。
その顔は、いつになく真剣だ。
「零はああいう奴だから、敵も多い。それでも君は…」
「信じますよ」

