「あれ華奈?そこもまた怪我したのか?」



放課後の生徒会質。



無駄に通る少し高めの咲の声が、俺の耳にまで届いた。



「あ…はい、お弁当作ってたら包丁で」



吉野は苦笑いしながら、絆創膏の上から傷をさする。



「弁当って、自分のとか?!」

「はい。自分のと弟のですけど」



そして驚く咲を不思議そうに見ながら言った。



………。



確か…アイツの両親は家にいない。



仕事かなんかで、世界中を飛び回ってるらしい。



俺が知っているのはこの程度だ。



いくら生徒会長でも、そこまで詳しい情報までは得られない。



「華奈、料理できたんだなー」

「咲、それは意外だと言っているのか?」



近くで作業をしていた斎藤が、2人の話しに口を挟む。



「ぎ、銀くん、ちっげーよっ。別に意外とか思ってねーし!」