沢口先生をひとり教室に残し、私は零会長に腕を引っ張られている。



どこまで行くんだろう…?



掴む力が強くて、手首が少し痛い。



前を歩く零会長はさっきから無言だし、なんだか怖い。



怒ってるのかな?



私がいきなり、生徒会室飛び出したりしたから。



…おまけに頬を引っ掻いてきちゃったし。



零会長は、私を裏庭に連れて来た。



瞬間、手首が解放される。



「あ、あの…」

「お前さ」

「は、はい」



まるで、「口を開くな」とでも言っているかのようなタイミングで、零会長は言った。



私は零会長の背中を見つめる。



「なんで泣いた?」



……え。



な、なんで…?



予想外の零会長の言葉に、返す言葉が見つからない。