辿り着いた先は、平面の世界。
彼らは、確かに二次元で生きていた。

ここが二次元と知らずに、当たり前に。


私も今二次元で生きているけれどもあまり実感がない。

かといって違和感がないわけでもなく、まるで長い夢でも見ているような、どこかぼんやりと脳が麻痺しているようだ。


自分の手に視線を落とす。
私から見たら立体的に映っている。
だけど、向こうではひらべったくなって写るのだろうか。



「早紀、どうしたの?自分の手なんか見つめて」



聞き慣れた声。
この世界にきて一番最初に友達となった、今では親友の優子だ。



「……もしも今生きていることが長い夢で、目が覚めたら知らない世界にいたらどうしようって思って」



私は素直に思っていたことを口にした。
私の理解しがたい電波発言に、顔をしかめるでもなく彼女は不思議そうに首を傾かせて、やがて柔らかく笑った。



「ふふ、おもしろいね。それ。何かのドラマや映画みたい」



彼女らしい言葉にわずかな笑みが零れる。



「うん、なんだか不思議だよね。」



この世界に生きていることが、存在することが。

死後の世界なんて、誰にもわからない。
生まれ変わるだの天国にいくだの、そんなものは死を体験したことのない人々の空想だ。

だって、わかるはずないんだ。
死んだ人は生き返らないから。

私だって、未だわからない。
また死んだら何処へ行くのか、どうなるのか。

ただ、ひとつ言えることがある。今私は、


「テニスの王子様」の世界で生きています。












ねぇ、灯也。私が見えてる?