そしてちょうど正午。




楽器隊が花火の合図と共に軽快な音を出した。



バルコニーに兵隊を先頭に王族が出てきた。



国王にヘルム王子、シルフィー姫そしてメテル王子の順に出てきた。



このラグト王国には王妃はいない。



5年前にこの世を去ってしまった。



国王は今でも王妃を想い新しい王妃は選ばないと宣言している。



今日はシルフィー姫の15歳の誕生祭。



でもその姫は顔をベールで覆い隠している。



覆い隠すようになったのは5年前から。



国民は母である王妃を偲んでし始めたのではないかと噂している。



王族が揃うとそれまでの歓声や音楽が終わり静まりかえった。



国王の声を聞きたいという思いからだ。