「あら、決まっていたの?」


思わずリリーが口にするほど簡単に


選んだ布は落ち着いた色だった。



「俺の色は決まっている。


カインはいつもの事だ。」


横で話を聞きながらリリーは


フレイスの選んだ布を裁断始めた。



どうやらすぐに服を制作するらしい。


『俺はどうなんだよ~?』


リリーの作業を横目にカインはつぶやいた。


ため息をもらして、リリーは言った。


「あんたはこれ!わかった?」


フレイスと近い色だが、別の布を


指さした。


その行動にカインはうなずくしかなかった。