「おかえり、由里香。」 手を出しながらそう言う巧。 「ただいま、巧。はい。」 私は記録を書いたプログラムを手渡して言う。 「やっぱり。先輩たち、完璧夫婦っしょ。」 とあきれ顔の綾人。 いつもの光景すら、私の心をぽっと温かくする。 「帰る支度しよう。」 巧がそう言うから片付ける。 それで、みんなで帰る。 並んで歩く姿は、他の人にどう写るのかとふと思う。 見上げた空は、眩しいくらいにきれいな茜色だった。