「いつも、助けてくれて。」 私は顔が火照るのを感じた。まったくもう。先輩をからかって! 「へへっ。」 綾人はイタズラが成功した子供と同じ顔をして練習に戻った。 ま、いっか。余裕できたみたいだし。 風が、私の髪を擦り抜けていく。 その風にのって、どこからか甘い花の香りが鼻をかすめた。 暖かいひだまりに、心がほっとした。そんな日だった。