あれは
四年前の縁日。


桜が咲く
その公園で
開かれていた、


小さな


小さな


縁日。




僕は
凄く苦しかった。


苦しくて

苦しくて


ずっと
もがいてた。




そんな、
仲間が密集して
入れられてる
無酸素状態の水槽から、


12歳の陽一君が

僕たちを指差して、


あの子たち可哀相だよ。
助けてあげなきゃ。


そう言って
僕含め5匹を
お小遣いをはたいて、
救い出してくれた。



僕以外の4匹は

すぐに
死んでしまったけど、

何故か、
一番小さかった
僕だけが

死ななかった。



陽一君は、
先に死んでしまった4匹を、

そっと

一番大きな桜の
根元に埋めた。



亀は百年生きるって言うけど
本当なのかな?



そう言いながら
僕を見つめて、
寂しげに微笑む
陽一君。


そっと僕の背中を撫で、



僕に

亀吉と


名を付けた。