来ないと思ってた。




けど、

春が来る気配がする。



もうすぐ
あの風が吹く。




ほんの少し

春の香りのする


あの風が。




振り返る。




やはり
陽一君はいない。




けど、


心が
躍動していく。






陽一君…。





陽一君が
いないのに、




春の気配がするよ。




数日後に
いつもの風が吹くよ。







凍てつく
寒さの中、

首を少し伸ばす。





陽一君の事を
考えていたのに、

心がいつもより
軽く感じた。