陽一君を見ていた時、

ふと思った。



陽一君は

桜の
どこを見ているのだろう?



桜の花?

桜の木の幹?

桜の散る花びら?

桜の根っこ?

桜の花をついばむ鳥?



桜を見上げずに

陽一君を
じっと見ていると、

桜の花だけでなく、
そんな事を思う。




…いいや。

今度聞けば。




陽一君と一緒に
桜を見れれば、

僕はそれだけで
幸せだから。




陽一君は

その日も


いつものように



まぶしそうに
桜を眺め、


最高の笑顔を
僕に見せた。