ほんの少しの

香り。



待ち焦がれて
やまなかった

春の香り。



春の香りがして、

陽一君は

また少し
大人になる。


僕に見せる
最高の笑顔。


少しずつ
大人になりつつ、

いつもと同じ笑顔で
僕に微笑む。


そして
僕の頭を
軽く撫でながら

そっと
囁くように呟く。



また来たね。
また同じように
春が来たね。



陽一君は

少しずつ
変わらずに
大人になっていく。