・・・だが、俺・・・・・・何にもやることねぇ。


いまさらながらに気がついた俺。


茜さんは小野寺先輩と話合ってるし、唯白警部は警官の人たちと話し合ってる。


・・・俺だけ蚊帳の外にほおり出された感じだ。

そう思ってると、桜の木が目に付いた。


―――今まで、ずっと一緒だった桜の木。



「・・・傷ついちゃうなんて、な。」



はぁ、とため息が出る。

何をやっているんだ俺は。

そして、木の幹に手を伸ばしていると・・・



「金森くん、もう終わったよ?」
「えっ・・・」



聞こえたのは、茜さんの声。

まわりを見渡すと、もう先輩は帰ってしまったようだ。

そのまま、茜さんは口を開いた。



「・・・じゃあ、月曜日に学校終わってから来てね!!」

「え、あっ・・・ハイ」



一応はあいまいな返事をすると、バイバイ、と昨日のようにもはや風のように去っていってしまった茜さん。



「あ・・・」



止める暇もなく行ってしまった・・・