そのおじさんは、明らかに見けんにしわを寄せてこちらを見ている。



「えっと・・・そのぉ・・・・・・」



俺の口からは、途切れ途切れの言葉しか出てこない。

すると、おじさんは茶色いコートの内ポケットから黒いメモ帳サイズの物を取り出した。


「ワシは、警視庁警部の唯白だ。」


そう言ってから、黒いメモ帳をバッと広げて俺に見せる。

それは、初めて生で見た警察手帳だった。


「・・・君が、金森君かね?」


おじさん・・・いや、唯白警部は睨みを利かせたまま俺に質問する。


「そ・・・そうです・・・・・・」


俺がそう言うと、茜さんは後ろから「警部、よっろしくねぇ~!」と話す。

って、もう、話終わったんだから背中に置いてある手を放してくれっ!!

そんな願いが届いたのか、警部は警察手帳をコートにしまうと、茜さんに話した。


「赤髪。この桜の木に脅迫文を書いた容疑者候補が浮かび上がって来たぞ。」
「あっ!本当ですか~??」