その夜、10時をまわって自分がお風呂に入ってないことに気がついた。

パジャマや下着、それと携帯を持って風呂場に急ぐ。

あんまり遅い時間に入るとお母さんが直ぐに怒るからね。


「う~…寒い!」


服を脱いだら直ぐ様湯船に飛び込む。

さっきの寒さは嘘のように、お湯が私の体を暖めてくれる。


それで、やっと暖まってきたときに――…


“でんわー…でんわー…”


携帯が鳴り始めた。

「タイミング悪い~!嫌だ!」


そう言いながらもやっぱり無視するのにはかなりの抵抗がある。

湯船から出て、タオルで手をふく。それから電話に出た。


「もしもし……」

少し不機嫌な感じで応える。


『あー…今、忙しかった?』

「…あ、いざわくん!!全然!忙しくない!!」

『ならよかった』


電話の向こうで相沢くんは笑っていた。

相沢くんからの電話なんて初めてだ。

「えっと…どうしたの?」

私がそう言ってから相沢くんは少し間を開けて、


『明日、土曜だし二人で出掛けないかな~とか。……どうですか??』


そう言った。