「でも俺は嘘しかつけなくて」
「もういい」
「…………」
「もういいよ」
涙が止まらない。きっと一番泣きたいのは彼なはずなのに。
彼は目をそらさなかった。
私が初めて本気で好きになった人。
「好き」
「…………」
「陸が好き。大好きなの!だから…もういいの」
そう言った瞬間、私は陸に抱き締められていた。強く強く。
「俺も好きだ」
言わなくてもぎゅっと抱き締められた腕からそれは伝わってきた。
――あぁ……『両想い』、ってこんな気持ちなんだ。
「陸……キスしたい」
ふわっと香る落ち着く匂い。
ふわっとした髪の毛。
でもなによりもすきなのは
私の彼のふんわりキス。
END