「ねぇ、いい加減名前教えてよ」
私が見下ろしてそう言っても彼はただ顔をあげて私を見るだけ。
それからまた、私から少しだけ視線をずらして空を見る。
無視されたけど無視されてない。
「なんで教えてくれないの?」
「じゃぁ何で知りたいの?」
彼は視線を少しだけずらして私と目を合わせる。それにドキッとした。
「別に特別な理由はないよ。知りたいから知りたいの」
「別に俺の名前なんか知らなくていい。どうせ屋上でしか合わないんだから」
彼は突き放すかのように、はっきりとそう言った。
確かにそうだけど。言う通りだけど。
「わ、私はとにかく知りたいのっ!」

