――――― 彼が去ったあと私はひとりで屋上に向かった。階段を登る足は自然と弾む。 ――多分彼は今日もいる。 そう思っただけで楽しくなる私。 今の私を見た人は、さっき人をふったばっかりの人とは考えられないと思う。 「あれ?」 扉を開いた私は酷くがっかりした。 だって彼の姿はとごにも見当たらなかったから。