「んふふ」


帰り道、小指のピンキーリングを嬉しそうに眺める彼女を見ながら思わず顔が綻(ほころ)ぶ。

いつもはおとなしくて少し大人なミドリが今日は大胆なことをしてくれた。

あんなこと言われたら好きじゃなくてもかなり焦る。

未央への気持ちはミドリと付き合い始めてからなくなっていった。それからミドリを好きになっていったんだ。


「そんな嬉しい?」

そう聞けばまるで小学生みたいに無邪気に笑う。

「相沢くんから貰ったからすっごく嬉しいの。ありがとう」

「…………」

「………相沢くん?」