「そっ…それじゃあ、東條くんまた後で」

「私も…」

「またね…」

「せっ席に着かなくちゃ…ね」

「あぁ、もうこんな時間」

女子たちは顔を青くして慌てて自分の席に戻っていった


これでやっと静かに本が読める

私はそう思い、席に着いて読書を再開した



「ごめんね、雨宮さん。」


不意に隣の人物から声がかかる


・・・・・・・

私は顔を嫌々ながらそちらに向けた
いや、だって…隣の人物=東條直人ですから
それは嫌ですよ。人間としての本能です


「彼女たちも悪気があったわけじゃないんだ。許してあげて?」


ね?と首を傾けながら私に王子様スマイルを向けて言ってきた


あれ…
なんだろう?この言われもない胸のムカつきは…?
彼女達の許しを請う前にまず貴方の上から目線を是非とも改めてほしいものです



「許してあげてって…。

根本的な原因は東條直人くん、貴方にあるのですから

貴方自身がこの場からいなくなるのが
一番の解決策だと思います。
毎朝毎朝、同じことばかりを繰り返して…貴方には学習能力というものが備わっていないのですか?

少しでも申し訳ないという気持ちがあるのならば、他の生徒をたしなめてから席についてください


それから…

その嘘臭い笑顔を無駄に振りまくのも止めてください。
個人的に見ていて不愉快です」



さっきの言葉で火がつき
思っていたことを色々言ってしまった

いや…これくらいの憂さ晴らしは許してください
こちらも毎朝、ストレスがたまって仕方ないんですから



一方、東條直人は驚いた顔でしばらく黙った後


「ははっ…。
そうだよね、ごめん。ごめん。

でもここは僕の席だから消えるのはできないかな?

あ、それでも雨宮さんに迷惑かけてたのは事実だし…ごめんね
うん、そうだな…明日までにいい打開策でも考えておくよ」


そんな事を言ってきたけれど
私はそれを無視して本を読み始めた

明日…?できれば今すぐにでも考えてほしいです


そんなことを思いながら…