気まずい雰囲気のまま2人で黙々と歩いていたら、高校の正門が見えてきた。

「あっ、じゃあまたね。悠斗」

2人きりのときは良いとして、学校みたいな大勢の人がいるところで悠斗に話しかけることなんてできない。
悠斗が私のことを嫌がっている以上、悠斗に迷惑はかけたくないから――。


それでも、「バイバイ」じゃなくて「またね」っていうのは、学校以外では図々しくも悠斗に話しかけるのは、

悠斗とのつながりを切りたくないからだ。

――わがままだな、私。


そう色々なことを考えながら悠斗の傍を離れようとしたとき


――グイッ

突然、誰かに手を引っ張られた。



「……ゆ、と…?」


どうしたんだろう。
なんで自分が悠斗に手を引っ張られたのか、しかも、そのまま一緒に歩いているのか…。私には全くわからなかった。