『良男ぉ~!』


「あれ?良男なんか不機嫌?」


みんなして、良男、良男ってうっせぇーんだっつーの。

保健室から教室へ戻ってくればみんなにこんなふうに声をかけられる始末。


ったく、いろいろめんどくせぇーんだからさ、話しかけてくんなよ。


『不機嫌じゃないですよ?全然。

僕はいつも通りです』


そう言って俺はニコッと笑ってみせる。


あー気持ち悪い。

自分で喋ってても偽りの自分は気持ち悪い。


何が『僕』だ。

何がニコッだ。


ホントの俺はそんなんじゃねぇーっていつになったら気づくんだよ?お前らは。



もうだいぶ『良男』を演じるのは慣れたけど。

だけど、演じることはいろいろ大変なんだからな。