「だからどうしても滝沢さんに試合を見に来てほしいんだ」
「“だから”ってそのつながりがよくわからないんですけど~」
「あいつ本人からじゃ恥ずかしくて連絡もしないだろうと思って、僕が余計なお節介で勝手に滝沢さんにチケットを渡したってこと」
「あの~、主任は石黒先生から私のことどういうふうに聞いているんですか?」
「高校時代の教え子」
「それだけですか?」
「それ以外に何か関係あったの?」
自分の顔が熱くなっているのを感じた。
「滝沢さんてホントわかりやすいよね」
「主任、からかわないで下さい!時間なので私もう行きます」
そう言うと、手にしていたチケットを主任のデスクに叩きつけ走り去った。
「滝沢さん」
そう呼び止める沢村主任をあとに。