「咲希(サキ)さん、一気に押しかけてすみません。」
咲希さんとは、怜のお母さんのこと。
中学の頃に言われてから、ずっとこの呼び方。
「いいのよっ♪つかさちゃん、いつ見ても美人ねー!」
「そんな事ないですよ。」
咲希さんは、私の後ろに目線をずらす。
「あら、舞…ちゃん?」
「はい、ご無沙汰してます。」
舞は軽く会釈をした。
「まあ、久しぶりね!……そちらは??」
今度は、舞のまた後ろに目をやった。
「駒塚 蓮です。」
「篠崎 俊です。」
「蓮くんに俊くんね。覚えたわっ!またイケメンくんが増えて、おばさん嬉しいわ♪」
咲希さんは笑顔で言うと、怜を呼んだ。
「怜ー、皆さんいらっしゃったわよー!」
――ガチャッ
「いらっしゃーい、上がってきて!」
怜が手招きをして、自分の部屋から叫んでいる。

