「はぁ…、俊に会いたいよ。」
病室を後にした私は、エレベーターに乗りながら呟いてた。
だって、寂しいんだもん。
両想いだって分かったのに……
これじゃ、恋人になれないよ?
「はぁ…。」
――ガラッ
エレベーターが途中の階で止まった。
それで、誰かが乗ってきたんだけど……
「「あっ!」」
目の前には………、
「瑞希さん!?」
何でここにいるの?
「怜ちゃん、久しぶり~♪」
ニコニコした顔で、私の前に立った。
「どうして瑞希さんがここに?」
「あれっ、言ってなかったっけ。」
「何をですか?」
「私、この病院でボランティアやってるのよ。」
瑞希さんの声と同時に、一階にエレベーターが止まってドアが開いた。
エレベーターを出て、病院内を歩きながら瑞希さんは続けた。
「『絵本の広場』ってとこがあるんだけど、そこでね?子供たちに読み聞かせをしてるの。」
「読み聞かせ……。」
「ほらっ、この病院に小児科病棟があるじゃない?だから子供たちがたくさんいて、その子達の為にって一年くらい前から始まったらしいの。」
瑞希さんは、楽しそうにボランティアのことを話してる。

