「あの…」
後ろから誰かの声がした。
このイライラしてる時に……
誰??
てか、振り返えれないから顔見れないし…
「あの、半分持ちましょうか?」
女の子の声。
でも聞いた事がない。
「いい。」
誰だか知らない人に持ってもらうほど、困ってないし。
だから、断った。
そうしたら私の隣りにきて、悲しそうな声で言った。
「私、片桐 優華です。覚えてませんか…?」
チラッと顔を確認するけど、全く分からない。
片桐?
誰それ、、
「知らない、誰?」
イライラしてるせいで、口調が荒くなる。
「昨日転校してきた…」
「知らない。」
その子を放っておいて、歩くスピードを速めた。
片桐とかいう子は、それでも私についてきた。
「佐々木さん。」
片桐さんは、勇気を振り絞ったかのように、小さな声で言った。
私は仕方なく足を止めて、片桐さんを見た。
そして目が合った途端、一気に逸らされた。
「すみません。私なんかに、名前を呼ばれたくないですよね。」
そう言って頭を下げ、走っていった。
「何…、あの子……。」
片桐さんがいなくなった後、私は一人で呟いた。

